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管理事務所が見えてきた。
あの手前で阻止しないと大混乱を引き起こす。
死ななくてもいい人を殺してしまう可能性もあるんだ。
死ななくても…
僕はこのわずか数秒間で生前の自分を見た。
去年の1月…僕は死んだ。
雪が降っていた…
最後に顔を見たのが亜由美だった。
「何か顔色悪いよ?小笠原君。」
「いや…別に大丈夫だから。」
「保健室一緒に行こうか?」
「平気…ほっといて…」
僕はそれから学校の屋上に向かった…
「涼っ!間に合ったっ!」
僕は事務所を背にして銃を構えた。
辺りが騒然としている。
「みんなっ!伏せてっ!」
里沙の叫び声に管理事務所はゲートを閉めた。
前方から走って来る…
僕は蛍光色を放つそいつに照準を合わせた。
スコープ越しにかなりの殺気を感じる。
僕はトリガーを引いた。
サイレンサーから放たれた剥離弾がそいつの胸に命中した。
動きが止まった。
後ろから追ってきた群集も一斉に足が止まり辺りは静かになった。
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