第5章 ユリの過去

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あたしが知っている母親は、 いつも化粧も落とさず 疲れた顔をしてリビングのソファーで眠っている。 「ママ…?」 怒られないように、小さな小さな声で呼ぶ。 「ん~…」 布団にくるまる母。 「ユリ…お腹空いてん…」 遠慮がちな娘の声に、母は無言でキッチンの食パンを指さす。
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