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真っ赤なドロップ
「なんでなのかしら?本当にわからないわ」
そうちいさなお姫が言ったやいなや流れ星が言いました。
「さぁ着いた!赤い星だよ。ここはね、緑の星の兄弟星なんだよ。赤い実のなる木ばかりが生えている星さ。さぁ、おちびちゃん探しておいで。」
そう言う流れ星の顔は晴れやかです。
ちいさなお姫さまも目をキラキラ輝かせて言いました。
「本当にありがとう。流れ星さん大好き。」
もうちいさなお姫さまに迷いなどありません。
あの日赤い実のなる木が倒れて以来なかった満面の笑みをたたえて駆け出しました。
その後ろ姿を見つめる流れ星は喜びのあまりまた涙目です。
日が沈む頃になってもちいさなお姫さまは戻ってきません。
心配になった流れ星はちいさなお姫さまを探し始めました。
「あの~おちびちゃん来ませんでしたか?」
そう赤い実のなる木たちに聞くと、みんなこう言います。
「おちびちゃん?来たわ。でもね少し話すと、『探してた人はあなたじゃなかったみたい。ごめんなさいね。』と言って駆けていってしまったわ」と。
星中の赤い実のなる木に尋ねてまわったけどちいさなお姫さまは見つかりません。
流れ星は疲れて座り込みました。
すると遠くの小川のほとりにちいさな影が見えます。
ちいさなお姫さまです。
「どうしたんだい?」
と後ろから声をかけると、ちいさなお姫さまは声を震わせかすれたちいさな声で答えます。
「ち の」
「どうしたの?」優しい声で再び流れ星が尋ねます。
「違うのよ。あたしの赤い実のなる木さんがいないのよ。」
と泣きじゃくりながらちいさなお姫さまは流れ星に抱き着きます。
そして続けます。
「やっとわかったの。あたしが探していたのは実をくれる人でも優しい人でもないの。ずっと一緒にいたあの我が儘な赤い実のなる木さんなの。」
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