旅立ち

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ただ独りぼんやりと空を眺め続けていたお姫さま。 そんなある日の夜、急にあたりが明るくなりました。 流れ星です。ずっと誰とも話していなかったお姫さまはためらうことなく話し掛けました。 「こんばんは流れ星さん。今からお出かけですか?」 すると流れ星は答えました。 「こんばんはちいさなお姫さま。僕はみんなに喜んでもらうためにいろんな星を回るところさ」 「いろんな星?」お姫さまは尋ねました。 「ああそうさいろんな星さ。空でキラキラ光るドロップみたいなのは全部星なんだよ。いろんな星にいろんな人が住んでるのさ。」流れ星は言いました。 「素敵」思わずお姫さまはつぶやきました。 「そっかぁ。君は知らなかったんだね。一緒に行くかい?」流れ星は優しく言いました。 「うん」 お姫さまの笑顔は何日ぶりだったでしょうか。 「でもね」流れ星は続けました。 「帰ってこれるかはわからないよ」 「…」お姫さまは戸惑いました。 「ちょっと待ってて」とお姫さまは駆け出しました。 小川のほとりの赤い実のなる木のお墓です。 風で倒れてしまわないように囲いを作り、小川から水をひいてきてあげました。 「よしっ」とお姫さまは流れ星の元へ駆け寄って来ました。 「私を連れて行って下さい。流れ星さんお願いします」 流れ星は優しくうなずきました。 「さぁ行くぞ。しっかりつかまってなよ」
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