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すでに太郎カップルがきていた
「お待たせしました。」
くろは軽くお辞儀し席に着いた
太郎は落ち着きがない様子だ
「審事さん、それで許可はいただけるのでしょうか?」
この国では婚姻審査官のことを審事と呼ぶのが一般的である
くろは答えた
「いろいろ審査をした結果、まず太郎さんは、特に問題はありませんでした。30歳にして年収1000万円ですし、貯金も2000万ですか。特に持病もなく、過去の経歴を見ても真面目そのものですね」
太郎の顔がぱぁっと明るくなった
「では許可をいただけるんですね?」
くろは一瞬沈黙をし口を開いた
「うーん、ただ相手の華子さんの筆記試験の結果がちょっとひどかったですね。それだけを除いては問題ありませんが、やはり特に家事をこなすことになろう女性には満点近く取っていただきたいものです」
くろは華子をチラッとみた
「ですので華子さんには講習を受けていただこうと思います。講習を受講なされば許可を出します」
華子はホッと溜め息をついた
「いつ受けれますか?」
「今度の日曜はいかがですか?」
「それで結構です」
華子は若干はにかんでいた
「ではこの受講申込書に必要事項を記し、1階の窓口に提出してください。なおその際、受講料2000円を納めてくださいね」
くろはペンを差し出した
「お金かかるんですかぁ。」
太郎は少し不服そうな様子だ
「無料だと、ちゃんと受けない人もでてくるでしょ?」
くろは笑いながら言った
太郎カップルはぺこりとお辞儀をし、部屋を後にした
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