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……それはさておき。
「バレンタインとやらがなんだ」
「このチョコたちは全部私とリョウ宛てのモノです。私がちょっと買い物に出ると、ゆく先々に女性が立ってまして。これを食べてくださいとかリョウに渡してくださいとか……いつのまにやらこんなことに」
………。なんて哀れな……いやいや、そうじゃない。とりあえず、誰がよこしたかわからないものを近くに置いては危険だ。
優太は立場的に命を狙われても仕方がない。もしかしたら俺たちを使って優太に危害を加える気かっ?!それは阻止しなければ………
とぐるぐる考えているとカイがどうしたのか聞いてきた。答えてやるとカイらしい答えが返ってきた。
「確かにその可能性もなくはないですが…チョコをくれた方達は皆、純粋に想いをくれたように見えましたよ。ですから素直に受け取ってさしあげては?」
確かに、こんな日にわざわざ命を狙いにくるやつもいないかもしれないが……
「それに、そんなふうに疑っては彼女たちが可哀相ですよ」
カイは昔からお人好しだ。たまに世話をかけさせられるが、そんな所がコイツが人に好かれる要因なんだろう。
「……そうだな」
だからつい、ほだされてしまうのだ。
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