降と奈緒

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奈緒「俺も族に入ったら… 泉の気持ちが分かるのかな」 俯いて言った。 輝雷は俺の頭に手を置いて 悲しそうな顔をして言った。 輝雷「分かんねぇよ。 俺だって分かんねぇよ。 泉じゃねぇもん」 ……輝雷は俺より大きい。 …クソッ!! でも何故かその頭に置かれた 手は温かく感じた。 同い年の男の子なのに 大人っぽいんだな 輝雷って。 安心する。 奈緒「………そうだよな 悪ぃ」 俺がそう言うと輝雷は俺の 頭に置いていた手を退けて 輝雷「いいよ別に!! …そんな顔すんなよ 奈緒!!」 俺が悲しそうに笑ったら 輝雷が ニカッ と笑って答えた さっきみたいな 作り笑いじゃなくて 心から笑えてる感じの笑顔。 ……てか、 奈緒「…俺の名前…」 覚えてたんだ。←失礼。 輝雷「ん?嫌だったか? 泉が"温井って言うな"って 言ってたから てっきりお前も そうなのかなって思って。」 ───……え…? 輝雷はそう言うと"悪ぃ"と 言って俺に謝った。 いや、別に悪くはない。 でも…1つだけ引っ掛かる ことがあるんだ… 奈緒「泉は…その理由を 何て言ってた?」 輝雷「んぁ?理由?……あぁ、 何だか、 "アイツと同じ名前は嫌だ" とか言ってたぞ?」 同じだ… 奈緒「じゃあ…ここでは何て 名乗ってる?」 輝雷「"青柳"って名乗ってるよ」 やっぱり… 奈緒「……俺と同じだ………」 輝雷「なぁ、いまいち ついていけてねぇんだけど… どういうこと? もしかして家庭とかの事情? つかその前に "青柳"とか"アイツ"って誰? じゃなくて、泉 探そうか」 ………一気に言い過ぎだ。 奈緒「ごめん、 その質問に答えるのは 泉も一緒がいいんだけどな…」 輝雷「じゃあ泉 探そうか」 奈緒「うん、じゃなくて どうやって?」      
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