7月16日って何の日?

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聖「ま、俺にとっては勘違いかもしれねぇけど、押しつけられた感じなんだよ」 泉「? 跡継ぎって押しつけられるもんじゃない?」 俺がそう答えると、聖の表情が少し曇った。 え、もしかして言っちゃいけない事だったかな? 聖「じゃあ…」 泉「え?」 聖「押しつけられるものだったら、普通は俺じゃなくて、優姫がやるはずだろ!? 族に入っててても、結局は引退するんだから! なのに何で俺なんだよ!! あいつらは、 『優姫は族に入ってるから、じゃあ聖でいっか。』 って言ったんだぞ! 結局は……最初から俺に継がせるつもりだったみたいに…。 『聖でいっか』っていうのは、もう俺と紫桜組に興味がないってことなんだ…… それと、俺には自由がなくなったってことも、意味するんだ…」 ハァハァ、と息を整えている聖。 俺は いきなり本音をぶつけられたことと、 聖にそんな事情があったことに驚いて、何も言えなかった。 キィー、キィーと俺たちが座ってるブランコの音が、 さっきまではたくさん人がいたのに、今は誰もいなくて俺たちだけいる、この公園に響いた。 聖「……………」 泉「……………」 沈黙が続いた。 数分たったくらいに、聖が口を開いた。 聖「……ごめん」 泉「なんで?」 聖「だって、いきなり怒鳴っちゃったし」 今さらだな! 聖はちょっと涙目になって俺の顔を覗きこんでいる。 その顔は、捨てられた子犬みたいだった。         
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