ONE YEAR WAR

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「大気圏突入班でなくて良かったですね!敵に撃たれて死ぬならまだしも、犬死にだけはしたくないですよ。」 レスティの言葉にツキヒロは、ふっと苦笑いをして答えた。 「私も高度を気にしながら戦闘をしたことはないが、できないものではないさ。肝心なのは心構えが出来ているかどうか、だ。」 早い話が、その心構えが出来ていないから木馬組から外されたのだ。 ツキヒロからしてみれば、自尊心を傷つけられる命令に嬉々としているレスティは理解できなかった。 教導隊の気持ちのまま戦場にいては生き残れんぞ、と言おうとしたが思い止まった。 (作戦前に気持ちを逆撫でするのは逆効果、だな。戦場にいればいずれは気付くか。) 数刻の後― ツキヒロ達は自分達のムサイに戻り、モビルスーツに搭乗していた。 『間もなく、作戦宙域に入ります。』 オペレーターの声が耳に入る。 『レイアード中尉、射出準備に入りますので、カタパルトデッキへお願いします。』 ツキヒロは応えぬまま、カタパルトへザクの足を運ぶ。 『前方に遮蔽物なし。では、御武運を!』 そして、ようやく口を開く。 「ああ。ツキヒロ・レイアード、出るぞ!」 そして黒いザクが ムサイより飛び立った。    
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