昇り龍

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きっかけは、鬱病に打ち勝つため だった気がします。 決して 軽い気持ちで入れるサイズではありません 滴が大好きな彫り師さんにお願いして 完全オリジナルで デッサンをあげてもらいました 一ヶ月に一度ずつ(なにせ大きな画でしたので 滴自身も、彫り師さんも ガチで挑むために 時間をかけました)真剣勝負です。 痛みの余り 泣き言を吐いてしまう滴に 『お前が、自分で選んだ事だ!我慢しろっ!ビービー泣くんじゃねぇ!』 と 何度も喝をいれて たまには 優しく 『よく頑張ったな』と声をかけてくれたり… 休憩の度に、鏡で確認をしながら 気合いをいれながら 三ヶ月かかり 作品は仕上がりました。 一度目 二度目 そして 三度目 日を追う事に 滴は強くなれた気がして こんなにも、痛みに耐えて こんなにも 美しい龍を刻んでもらって もう怖い物など 何も無いような気持ちになりました。 腹が据わる とでも言うのでしょうか 病気にも、不遇な身の上も 何もかも 受け入れる自信がついたのです。 仕上がった作品の原画を、帰り際 額に入れてプレゼントしてくれました。 『原画はこれしか無い。お前の為の龍だ。 大事にしろよ。』 そう言って渡してくれた原画は、今でも滴の宝物です。 滴自身に宿る龍も
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