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ジッポから出るオイルの匂いが二人の周りに一瞬立ち込めたが、それはすぐにタールとニコチンを含んだ重たい煙の匂いに変わっていた。
東藤は辺りの薄暗い中、タバコの先をオレンジ色に光らせ、何かを考えているようだった。
『………。』
『あれ?東藤さん。』
『あぁ?』
『その左手のは……。』
『ふっ……。』
ニヤッとして見せた東藤。
『さすが東藤さんス!
そう言えば鷹志さんは何と……?』
『おう。ワシら無事だったのを聞いて、喜んでやがった。
どこまでもお人好しな男だな……。』
と口ではそう言う東藤だが、顔はどこか嬉しそうな誇らしげな顔をしているように見えた。
『東藤さん、明日も鷹志さん達の調査の手伝いをするんスか?』
東藤の顔がオレンジ色の光に照らされ、その後すぐに白い煙幕に隠された。
そして再びマンションの街灯に照らされた東藤は口を開く。
『明日はワシらは、充の所に行こうと思っている。』
『充の所ッスか?』
『おう。今回ワシらの協力をしてもらった代わりに、明日手伝ってほしい事があると頼まれた。
それに奴とは話しておきたい事があるしな。
鷹志にはもう伝えてある。
次にあいつらと会うのは、明後日の寺に行く時になるな。』
『へい!!』
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