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鷹志達は一階に降り、校舎とは中庭を挟んで斜め向かいに位置する学生食堂会館へとやって来た。
中に入るとたくさんの学生達でごった返している。
自動販売機で食券を買っている男性。
お盆に出来上がった料理を乗せ、テーブルに運ぶ学生達。
友達同士で大きな口を開け、笑顔で話す女性達。
カップルであろう男女が、一つの丸テーブルで向かい合わせに嬉しそうに話しをする姿など、活気溢れる空間である。
そんな中、会館の端、大きな窓ガラスの横で、丸テーブルに向かい合わせに座り、笑顔で話をしている女性二人がいた。
髪の長い女性とショートカットの女性。
鷹志達はすぐにそのテーブルに向かって歩き出し、少し手前で黒髪の清楚(せいそ)な女性に声をかけた。
『百合っ、やったぞ!とうとう活動ができるぞ!!認可されたんだ!ミステリー研究会、始動だ!』
鷹志の声に少し驚く女性だったが、顔を見て安堵の表情を浮かべる女の子。
鷹志の声を聞くと、すぐにその大きな猫のような丸い目を細め、口の両脇を少し上げながらこう言った。
『やったしょ~、すごいね~!』
と言いながらも、どこか不安そうな表情の女性。
彼女の名前は【原田 百合(はらだ ゆり)】。
鷹志と百合とは幼稚園、小学校からの幼馴染みで中学、高校と同じ学校だった。
百合は大学では保育士を目指すため、鷹志の行く大学敷地内にある、女子短期大学に通っていたのだ。
百合も鷹志達と同様、二年生で19歳。
綺麗な黒髪が目立つ、肩より少し長めのストレートヘアーが魅力的だ。
高校の学祭でのミスコンで、二位になったほどの綺麗な女の子である。
そんな彼女が何故不安そうな表情かと言うと、百合は怖いことが苦手だから。
しかし鷹志と光一が何度も誘ったので、ミステリー研究会が認可されたら会員になると言ったのだ。
だから百合的には今の鷹志の話、嬉しい気持ちと、心配な気持ち両方の感情が浮かんでいたと言うわけだ。
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