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?「君も女なら、躯を売る相手は選べ」
黒髪の男は私の顔を一瞥もせず、事務所の階段を降りていく。
黒いスーツに黒いシャツを着て、グレーのネクタイを少し緩く結んでいる。
正直、かっこいい。
細い黒縁のメガネも似合ってるし、スラッとして身長も高い、さっきもドアの梁で頭を打ちそうになってた。
普通ならドキドキしたり、ときめいたりする所なのだろうが、そういう状況ではなかった。
葵「仕方ないでしょ!」
確かに仕方がなかったのだ。
お母さんが事故で死んでて、お父さんもこの前病気で死んで、お父さんの店の借金の形にヤクザに売られそうになっていた。
そこに現れたのが、この人だった。
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