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曇り一つない満月の夜、月明かりが建物や道路を照らしていた。
虫の鳴き声が響く中、街中を黒いフードの二人組が歩いていた。
しかし、二人組の足音はないという不自然さがあった。
そのまま歩き続けると、月明かりだけでも大きいと分かる建物が見えてきる。
それを見た背が高い男が呟くように言った。
「はぁ。めんどそう…。」
呟きを聞いた背の低い人物の声は女性の声であり、フードの中から男を睨みつけた。
「そんな事言わない。王族からの依頼なのよ。責任重大なんだから!」
男は真剣な口調で言った。
「ああ、分かってる。王族の姉弟の護衛及び監視だろ?」
女は頷いた後、補足した。
「ええ。極秘任務で本人達も別の護衛達も知らないし怪しまれないようにしないといけないのよ。それで、私は学校の生徒として入る。あなたは、若き新任教師として入る。分かった?」
何度も言われた説明に男は、はいはいと言った。
「はぁ……。そろそろ時間だ。行くぞ。」
そして、二人は夜の闇に消えていった。
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