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しかし、いつまでもこの草原で落ち込んでいるわけにもいかない。
仕方なく、ロクサスはとりあえず草原を抜け、街に行くことにした。
ロクサスは重い足取りで歩き出したが、暫く歩くと重要なことに気がついた。
「街…どっちだ?」
記憶がなく、この草原にも見覚えは無いわけで、無論街の方角など解るはずもない。
「まいったな」
ロクサスは、僅かな可能性に期待し、なにか突破口を開く道具を持っていないか自分の体を探り始めた。
しかし、当然そんなものあるはずもなく…
「だぁ!くそっ!
何だってんだよ!?やってられるか!」
ついには、ドサッとお尻から地面に落ち、大の字で寝ころんでしまった。
その時ふと頭を横切ったのは、消える前にアクセルが言ったあの言葉だった。
「剣術、体術、魔術、才能…俺にはすべて備わってんだよな?」
そう言って、ロクサスは寝ころびながら右手を上げ、天に翳した。
「まさか、な…」
呟きながらも、ロクサスは天に翳した右手に魔力を集中させた。
「頼むぞ、俺…」
すると、不意に右手が光り始め、その光はある程度の強さになると、急にはじけて空に向かって急浮上した。
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