序章

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サァァァァ… 吹き抜ける。 風の軌道を描くように、柔らかく蒼い月光に照らされている草原が揺れた。 草原は広く、見渡す限り青い草木で覆われている。 星が、落ちた。 いや、正確には星のように輝く「何か」が。 舞い降りた「それ」は、ゆっくりと地面に降り、徐々に光は薄れていった。 人である。 静かに眠ってはいるが、確かに息はしている。 これは舞い降りた彼の物語。 風が、再び駆け抜けた。 光となって舞い降りた「少年」を、蒼い月はただひたすらに照らし続けていた…
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