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パチッ…パチッ…パチッ…
不意に、背後からゆっくりとした拍手が聞こえた。
「!」
ロクサスは、瞬間で振り向きながらバックステップをし、拍手をした張本人を確認しようとした。
瞬時に、戦闘の構えをとる。
振り向いた先には黒いコートを着た人間が立っていた。
フードを深々と被っている為、顔は確認できない。
「流石ロクサス。
相変わらずやるやるやる~。
ダークウルフ五匹を一瞬で片付けけるとはな」
声からすると、若い男性のようだ。
「ダークウルフ?」
構えと警戒を解かないまま聞き返す。
その問いに対し、男は黙って切り刻まれている狼を指差した。
「あんた…誰だ?」
「…やっぱり覚えてない、か。衝撃で記憶がきえたんだな…」
「記憶…衝撃…?
何のことを言っている?
お前は、何かを知ってるのか?」
「知りたいか?
お前が忘れちまったことを…」
「あぁ」
「そりゃ良かった。
ま、思い出したくなぇつっても、無理やり連れてくんだけどな。
まぁいい。
ついてこい」
そう言って、コートの男はスタスタと歩き出した。
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