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不意に男が立ち止まり、右手を右耳に添えて独り言のようにしゃべり始めた。
「…なに?計画変更?
…
なっ!?
ちょっと待てよ!
ロクサスはどうすんだ!?」
「…?」
ロクサスは、男が誰と話しているのかは解らなかったが、自分にとって厄介な話になっているのは理解したようだ。
「そんな…!
なっ…はぁ…わかった、わかったよ…あぁ。」
いまだに誰かと話しながら、男がロクサスの方を見る。
目には、悲しみが含まれていた。
「ったく…。
記憶を取り戻したロクサスがキレてもしらねぇなからな」
そこで会話は終了したらしく、男はゆっくりと右手を耳から離し、申し訳なさそうにポリポリと頬を掻いて、視線を泳がせた。
「あ、あのなロクサス…言いにくいんだが…」
「なんだよ?」
すると、男がいきなり勢いよく顔の前で両手を合わし、頭を下げた。
「悪ぃ!
その…お前の記憶を取り戻すって話…できなくなった…」
「なっ!?
待てよ、どういうことだよ!」
「ほんっきで悪ぃ!
けど俺も「上」からの命令なんだ!
だ、だから恨むなら俺じゃなく「上の奴ら」を恨めよ!?
間違っても、記憶が戻ったとき俺に当たるなよ!?」
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