シングルベル

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 それから、三人でケーキを食べ、歌を歌って楽しく過ごした。  夜8時を回った頃、母親が迎えに来た。  「おっ、お姉ちゃ~ん」  「いつでも遊びにおいで」  女の子は泣いていた。  娘も泣きそうだった。  母親はうつむいて、丁寧にお辞儀をしていた。  たぶん、彼女も涙目だったのだろう。  ふいに、携帯がなる。 敦也からだった!  「メリークリスマス。 ゴメン、メール返さなくて」  「いいのよ、別に気にしてないわ」  「…少しは気にして欲しいなぁ」  「ふふっ、相変わらずね」  「ふっ、相変わらずだよ」  「聞いてほしいことがあったけど、もういいわ」  「なんだよ~」  「そのかわり、なんか聞いてほしい話があれば聞いてあげる」   「そうか、ちょうど良かった」  冗談のつもりだったのに…  「娘の真凛がさ、今年のプレゼントは[お姉ちゃんが欲しい!]って…  どうしたらいいかな?」  (マリンちゃん?…リンちゃん、はっ!)  たぶん、周りにマリナちゃんかマリサちゃんでもいるのだろう。  「…じゃあ、走って行って抱きしめてあげて」  「…わかった、そうするよ」  「リンちゃんによろしくね!メリークリスマス」  「ああ、あれ?!なんで娘のニックネームを…」  そこで電話を切った。 さもないと、余計なことまでしゃべりそうだ。
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