娘とシングルベル

シングルベル

　｢リンちゃん座って｣

　娘が椅子を置いた。

　なんでも、公園で寂しそうに座ってたそうだ。
　この子も母親と二人暮らしで、母親の帰りが遅いらしい。

　｢うちはいつまでも居ていいからね。
　お母さんには必ずメールしてね｣

　私が言おうとしたセリフを、娘が先に口にした。

　その子は最初こそ、借りて来た猫みたいだったが、徐々に慣れて楽しく過ごした。

　特に娘のあんなに楽しそうな顔を見るのは何年ぶりだろう。

　｢まるで、姉妹みたいね｣

　私がそう言うと二人とも笑った。