幼き頃の日々

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──ザァーー……。 雨が降り続ける夜。 ここはとある貴族の家。 いや、城、と言った方が良いだろう。 強<シ>いて言うなら、某夢と希望の国にあるシ○デ○ラ城に匹敵する程の大きさの城である。 そして、この城で三つの新たな命が産まれた。 ドタドタドタドタ……。 ここは城内部にある廊下の一つ。 そこを騒がしい足音を引き連れて、この城の主である男がある部屋へと向かっている。 ドタドタドタドタッ。 バンッ! 「ミリア!」 男は騒がしさをより一層上げ、ある部屋の扉をぶち破る勢いで開けた。 今まで薄暗い廊下にいたため姿はわからなかったが、男は急いでたからだろう黒いスーツは乱れ、鈍い銀色の髪を乱し、威厳ある顔を台無しにしている。 「あなた…もう少し静かにしてください……。」 ミリアと呼ばれる女性は、まるで雪の様な真っ白いベッドに寝そべっていて、辛そうだがどこか喜びに満ちた、優しい声で男をなだめた。 「おぉ、すまない……体は大丈夫か?」 男はミリアの言葉で我に返り、息を整え、スーツも整えた。
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