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「えぇ。」
そう言うとミリアは、顔にかかった金色の髪を耳にかけ、今まで瞑<ツブ>っていた瞼<マブタ>を開けた。
そこには、ミリアの美しさをより一層引き立たせる金色の優しい目があった。
「そうか、それは良かった。」
男はベッドの隣にある背もたれのない丸い椅子に座り、その威厳ある顔からは想像もつかない優しい声で返事をし、妻であるミリアの頬を優しく、優しく撫でた。
「ガルバ様、私達はこれで……。」
突然、その部屋にいた三人のメイド達の中の一人が男…いや、ガルバにたずねてきた。
「あぁ、もういいさがれ。」
ガルバは威厳ある顔に似合う声でメイド達にさがるよう言った。
「では、ごゆっくりと。」
メイド達は扉の前で振り返り、二人(ミリアとガルバ)に一礼すると足早<アシバヤ>に部屋から出ていった。
「ミリア、我が子達は?」
「そちらにいますよ。」
ミリアは言い終わる前に目線をガルバから外し、ガルバとはベッドを挟んで反対側にある産まれたばかりの赤子<アカゴ>用のベッドに目をやった。
「おぉ、おぉ。」
ガルバは少し小走り気味に反対側に向かった。
その姿は一城の主では無く、父親の姿になっていた。
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