短編 ふたつめ

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僕がそんな馬鹿らしいことを考えるために思考に意識を落としたところに、友人が「それで」、と口を開いた。 思考の波に浸っていた意識を引き上げ、そちらに向ける。 「あなたの考えでは、結婚はどうなのよ。 延々と麻酔を打たれ続けるクランケみたいに麻痺した感覚のまま死んでいくの?」 まぁそれはそれで幸せそうだけど、と続ける友人。 それは幸せなのかな、と口にしながら僕は喉が渇いた気がして目の前に置いていた紙コップのお茶を手に取った。 「幸せなんじゃない? だって、何も感じないのだもの。たとえば、そうね。 中学時代、あなたの周りに仲良く騒いでる男子のグループとかいなかった?」 「いたと思うけど」 「そういう連中って、すごい幸せそうじゃなかった? 自分と、自分の周りに取り巻く友達のことしか頭になくて、自分たちが世界で一番仲良しで世界を余すところなく楽しんでるって勘違いしてる人たち。 周りの事なんて考えなくて、どうでも良くて。 その人たちは幸せな視野狭窄に陥ってると思うの。 麻酔で鈍った感覚や思考をしていれば、そんな幸せをつかめると思うわ」 「それって男子である必要があったかな」 「さぁね、でも、あの頃から男は馬鹿ばかりだと思い始めたわ」
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