短編 ひとつめ

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  ■□■□■□ 死人に口なし。 ただ彼女の死体は口から発されるものより強く僕の心を揺さぶった。 ぐちゃぐちゃだった。 生前の美しさはどこへやら。 貴方が殺したのよ? 誰かがそう言った。 そうかもね、なんて軽く返してみた。 病院の屋上、フェンスの向こう側に立つ彼女、何か言おうとした。 何も言えなかった。 仕方ないだろう? だって彼女、笑ってた。 これは救いだと、そう言った。 ねぇ、怖いの。 落ちれば救われるのに。 救われる? そうよ、辛いことしかないここから、何もないどこかに行ける。 それってやっぱり、救いなの。 そうなんだ。 うん、だから手伝って? お願い。 うん。
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