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「先生」
「あ…佐々木先生」
職員室でぐったりしている私に声を掛けたのは長年教職についているベテランの先生。
「最近…どんどんやつれていませんか?担任という責任感に捕らわれていますよ」
「担任ですから責任感は持たなきゃ」
「ですが少し肩を外さなきゃ貴方倒れますよ」
「あはは…」
心配されてしまった。でも杉本君に心配させたくないし、生徒に好かれたいからここで泣き事言っちゃ駄目。
毎日毎日問題をねって、毎日毎日生徒が楽しいと思える授業をどうしたら出来るか考えて…
毎日毎日毎日毎日パソコンに向かって…
心を鋼にして何言われても笑顔で返して……
あぁ…でもそうしたらまた何笑ってんだって女子に言われてしまう…
女子にはどうすれば好かれるの…
それも考えなくては。勉強だけでなく生徒の好みを一人一人把握してそれを見つけてさりげなく彼女達より情報をみつけて…
そこから不思議ととけていく教師と生徒のギスギス感…
「はぁ…」
「市橋先生…」
どこか心配そうに佐々木先生は顔を歪めた。
でも少しでも力を抜いたら全て終わってしまうような気がする。
「次の授業まで5分だけ…」
まともにちゃんと寝てないから短い時間の間に睡眠をとる。勿論疲れはちゃんと取れていない。
杉本君には会っていない。保健室にも屋上にも…
やはり生徒の前で愚痴なんて言えないから。
それに杉本君を見ると不思議と嫌な愚痴を沢山吐き出してしまいたくなる。
だから…行かない。
私はもう大人なんだ。だから大人は大人で解決をしなくてはいけない。
「ん…」
眠い…でも…もう時間だ。
キーンコーンカーンコーン…
ほら…次の授業が始まる。これが終わればもう受け持つ授業は今日はない。
でもゆっくりはしていられないの。
今日の授業が終わっても今日失敗した所の反省点をあげていかなくてはならない。
そこを改善して次に備える。
あぁ…でもその前に毎日くる生徒のご両親からのクレームを消化しなくては…
あれが一番の難解だ…
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