屋上で出会った少年…

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「情けないわね……恥ずかしいわ……おばさんの泣き顔なんて醜い…化粧も落ちてしまったし」 女子に言われた事を気にしながら私は自嘲する。しかし少年は柔らかく笑むと私にハンカチをそっと渡していったのだ。 「おばさんなんかじゃありません。先生…まだ若いし…美人で…可愛いです」 「なっ…」 「不謹慎ですが、泣いてる顔が凄く可愛いと思ってしまいました」 「お…大人をからかうものじゃありません…ま、まったく最近の男の子はみんな…」 ハンカチで照れをかくしながら顔を背ける。しかし少年が私の顔を覗き込むから更に恥ずかしさにハンカチで顔を隠した。 「からかってませんよ。俺は事実しかいいません。今の恥ずかしそうに顔を隠す先生も可愛いです」 「だ…だから…」 「くすっ…すみません。困らせるつもりはなかったんです…でも良かった…涙、止まりましたね」 「あ…」 本当だ…涙…止まってる。 「俺は杉本奏(すぎもとかなで)といいます…」 「杉本…君?」 「はい…宜しければ貴方の名前を教えてくれませんか?」 「私は…市橋綾音…」 「綾音さん」 「こら…先生に向かって下の名前で呼ぶのはどうかと思うわ」 「すみません…じゃあ市橋先生って呼びます」 そういうと杉本君は柵に背中を寄りかからせ、空を見る。 私も釣られて空を見上げた。 ゆっくりと雲は移動し、青い空が私の心情と正反対。なのに空を見てるだけで少しだけ気分が晴れた。 そこでようやく落ち着いた私は杉本君に話し掛ける。 「それで杉本君はなんで授業中なのに屋上にいるの?授業が辛くて逃げた…とかさぼり…なんて通用しないからね」 「ふふ…違いますよ。でも辛いのはあってます」 「?」 「俺は教室にいてもいなくてもいい…どうでもいい存在なんです」 「杉本君?」 「あぁ…いじめにはあってませんよ。いじめよりある意味辛いと思います。…俺…周りから空気な扱いなんです」 「空気」 「いない存在…、無視よりタチが悪いです。存在感が皆無なんです。それって辛くないですか?」 微笑みながらいってきて私は戸惑った。 「だから俺は殆ど屋上か保健室にいるんです」 「保健室?」 「保健室登校。保健室で勉強をしてるんです…殆ど学校生活が一人で友達なんていませんが…」 「欲しくないの?作りたいとは思わないの?」 「欲しいし作りたいですが…」 その時杉本君が私をじっと見た。 そして… .
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