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「今日の授業はここまで」
「きりーっつ、礼っ!」
ようやく最後の授業が終わる。
他のクラスの生徒は行儀よく真面目で扱いやすい。
自分のクラスを受け持っていながら他のクラスを評価するなんていけないわね…
でもいつも思う。自分の受け持つクラスが他のクラスだったらと…
「…頭が、痛い」
ふらふらする足取りで私は職員室へ向かおうとしていた…
しかし肩こりや頭痛が激しく私は保健室へ行く事になる。まだそんなにおばさんじゃないのに毎日不規則な生活してると一気におばさんになるのね…
頭痛薬だけ保健の先生に貰おう…そして飲んだらすぐに職員室へ行こう。
そう思って引き戸のドアを開けた時…
「あ、先生」
「杉本君…」
「こんにちは」
笑顔で迎え入れてくれたのは保健の先生じゃなく、杉本君だった。
「ねぇ…保健の先生は?」
「今は席を外してます。俺が代理です」
「そう。なら頭痛薬欲しいんだけど」
「頭痛…薬?どこか具合でも」
「心配しないで、少しだけ痛むだけだから」
「休んだ方がいいですよ。先生…俺に心配かけない為に無理しているんじゃありませんか?」
「そんな事ないわ。私もまだまだね。疲れてるのがすぐ顔に出てしまう。でも頭痛薬を飲んだら落ち着くと思うわ」
「駄目です…少し休んで下さい…」
「それは無理よ。私職員室…に…」
「?先生」
あれ…
杉本君に腕を掴まれた途端…頭が真っ白になる。
触れられた途端、自分の中で保っていた緊張の糸が…ぷつんと音を立てたのを感じた…
「あ…れ…」
「先生?先生っ!」
杉本君が呼ぶ。心配させたくないのに、口が動かない…声が出ない。
意識が…なくなっていく……眠い…瞼が重い。
「先生…市橋先生!綾音さん!」
下の名前言っちゃ駄目だっていったのに…
今は注意する事も出来なかった…
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