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雪なんて、いらない。
ツリーも、飾りも、プレゼントもいらないから。だから。
――――――たった一つ、ください。
* * *
「こんにちわー」
「あら、律ちゃん。今日も勉強?偉いね」
「受験生ですから」
受付のお姉さんに声をかける。
毎日通っているから、今ではすっかり仲良しだ。
感心したように言うお姉さんに微笑んで、茶化して返した。
‥‥嘘、だけどね。
本当はただ単に、アノ人の側にいたいから。
だけど自習室に向かう途中、お姉さんが思い出したみたいに声をかけて来た。
「‥‥ああ、律ちゃん。
今日なんだけど、五時くらいにはもう閉めちゃう予定なの」
「、え?」
「一応クリスマスイブだしねぇ。誰か残る先生がいるなら勉強出来るんだけど‥‥」
「っ、き、北見先生はっ?」
「北見先生?どうかなぁ、格好いいし彼女と過ごすんじゃない?」
思いもかけなかった言葉に、慌てて彼の名前を出してしまう。
だけどお姉さんは変に思うでも無く小さく苦笑して、「一応調べてみるね」と答えた。
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