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そして早速、次の日から始まった授業。
どうすればいいのか、どこで授業をやるのか分からない私は、とりあえず職員室のようなところに行き、塾長を訪ねた。けれど。
『講座は適当に決めておいたから、変えたかったら言って欲しい』
それだけを告げられ、今日の担当だ、という北見先生と教室まで向かった。
初対面の印象はとにかく、『綺麗な人』に尽きる。
着崩したスーツの感じから言って、こんなところじゃなく、ホストでもやってる方が似合いそうだ。
しかも初めての塾で戸惑っている私を置いて、長い足でスタスタと行ってしまう。
少し苛立ちながら、広いその背中を追い掛けた。
と、不意に先生は、私を振り返った。
『おっまえ小せぇなぁ。身長いくつ?』
―――‥‥いきなりの質問に、一瞬、意味が分からなかった。
困りながらも、恐る恐る声を出す。
予想以上に低い声に、驚きながら。
『‥‥154です』
『へぇ。俺188だから、35くらい差あんのか』
『、え』
告げられた身長に、ビックリする。
高いだろうとは思っていたけど、まさかそんなに?
とりあえず『そうなんですか、』そう返しておいた。
そんな私の心境を知ってか知らずか、先生は話を止めなかった。
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