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でも先生は、とっても優秀な先生だった。
今は大学院に通ってるって話で、将来は研究職に就くから教員は興味無いって言ってたけど、その教え方は合理的で、正確。
分かりやすい解説には文句の付け所も無かった。
だからその後、塾長に担当は北見先生で、とお願いして、それ以来、英語と物理はずっと彼にお世話になっている。
――――だけど、北見先生に担当をお願いした理由は、それだけじゃ、無かった。
初めて会った時に跳ねた心臓は、その後もずっと、北見先生が近付く度、私の心に負荷をかけて。
夏の直前、私は気付いたのだ。この気持ちの正体に。
先生が近付くと、高鳴る心臓に。
先生が離れると、泣きたくなる衝動に。
先生が他の女子生徒や美人な先生と話していると、苛立つ気持ちに。
それらが指示した方向は、ただ一つだけで。
私はそれを自分だけで抱え込むには余りに幼く、そして、馬鹿だったんだって、今なら分かる。
* * *
初めての告白は、夏期講習の最中。
当時の私は、気付いたばかりの気持ちが嬉しくて恥ずかしくて、先生が近付く度に気持ち悪いくらいに笑っていた。
‥‥多分、先生は、気付いてた。とっくに、私の気持ちになんて。
だけど、知らない振りをしてたのに。
なのに、私は先生の気持ちを見ないで、自分勝手になったんだ。
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