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「朱麗(シュレイ)」
篶歌は侍女の名を、嬉しそうに呼ぶ。
朱麗と呼ばれた侍女は、篶歌より3つ年下で、齢十五の儚げな少女だ。
「陛下がお呼びです」
淡々と告げる朱麗に微笑み、篶歌は梦玉と李門から離れ、朱麗に近づく。
小柄な朱麗に対して、さほど小柄ではない篶歌を朱麗は見上げて小首を傾げる。
「何ですか?」
朱麗がたずねると同時に篶歌は朱麗を抱きしめた。
「篶歌様?」
「隋楠に嫁げば…朱麗とも会えなくなるな」
「……その事なんですが、私も行きます」
「え!?」
がばっと朱麗を離し、篶歌は朱麗を見つめる。
猫の様な瞳は篶歌を見上げると、淡々と口を開いた。
「但し、お抱えの医者、となりますけども」
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