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「義母上?」
「これは亡き、鈴蘭様がわたくしに託された腕輪。篶歌殿が嫁ぐ時に渡してと頼まれた物」
左手を見ると、二連の細かな飾りの銀と赤色の珠(ビーズ)で施された腕輪があった。
「これはわたくしと鈴蘭様と二人の思い出の品。花嫁道具の1つとして、篶歌殿にさしあげます」
「義母上……」
琥蓮は無表情ながらも、醸し出す雰囲気は温かみがある。
琥蓮はきゅっと篶歌の手を握り、目を閉じた。
別に嫌いではなかった。
鈴蘭様とわたくしは親友だった。
鈴蘭様はご病気で自分の命がもう長くないのを分かっていたからか、自分の子供達が嫁ぐ時に渡してくれと、腕輪を2つ渡した。
鈴蘭様の死後、王妃になったわたくしはまだ幼い二人の子供に会った。
鈴蘭様に似た大人しい性格の姉、駿(スン)殿に、どことなく顔が鈴蘭様に似た篶歌殿。
『義母上(ハハウエ)?』
おずおずと名を呼ぶ篶歌は大きな瞳で見つめると、嬉しそうに笑った。
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