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そう。嫌ってなどいない。
ただ、幼子が新しく来た母親に嬉しそうに笑った事が、意外で仕方なかった。
沸々と沸き上がるこの嬉しさは?
だから余計、二人にどんな態度で接するか分からなかった。
「さぁ、まだやる事がありましょう。もう行きなされ」
琥蓮は篶歌の手を離すと、篶歌の背をとん、と押す。
篶歌は笑いながら軽く頭を下げ、部屋を後にした。
「篶歌殿」
ふと、名を呼ばれ、篶歌は振り返った。
すると、トゥクラとクヌムが近づいてきた。
トゥクラはにこやかに頭を下げ、クヌムは媚を売る様なトゥクラの態度に苦笑しながら頭を下げた。
「出発の用意はできましたか?」
「はい、以前から準備はしていたので」
「それは良かったです。我が王が篶歌殿の到着をお待ちですので、失礼ながら急がしていただきました」
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