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「こちらの急な頼みを聞き入れていただき、感謝します。私は隋楠へは行った事がないのだが、どういう所なのでしょう」
「多くの領地が山に面して、王都のトクパンやヌーベは肌寒いです。トクパンは辛い料理が数多くありますよ」
「か、辛い料理か……」
わずかに顔がひきつった篶歌の顔をトゥクラが気付き、くすりと笑う。
「辛い料理はお嫌いですか?」
「苦手です……」
「篶歌様」
すると、朱麗(シュレイ)が早足でやって来た。篶歌にあたまを下げ、ちらりと隋楠の大臣達を見て、愛想なく挨拶する。
「どうしたんだ?」
「梦玉様と李門様が……」
先程まで寝ていた二人が起き出し、篶歌の名前を呼んで泣いているという。
きっと旅立つ姉への執着心を捨てきれず、寝起きという気分の悪さに思い出してしまったんだろう。
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