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「今はどこにいる?」
「篶歌様のお部屋に」
「わかった。では申し訳ありませんが、失礼します」
ぺこりと頭を下げると篶歌は急いで自室に向かった。
その後ろ姿を朱麗が見届ける。
「あなたは篶歌殿の侍女ですか?」
「篶歌様の医者として隋楠に参ります、朱麗と申します」
淡々と朱麗は挨拶を交わす。
トゥクラは顎に手をあて、考える様に朱麗を見つめる。
「……何か?」
「いえ、丁度良い具合にあなたが来たので…」
「お話中に申し訳ないと思ったのですが、梦玉様と李門様の事もありましたので」
それだけ言うと、朱麗は二人に頭を下げ、篶歌の部屋に向かった。
その後ろ姿をトゥクラは眉を寄せて見つめる。
「意外と目敏いな、あの侍女」
苦笑気味にクヌムが口を開くと、さも不服そうな表情に変わったトゥクラはクヌムをじとりと睨む。
「かなり目敏いですね。彼女は我々が篶歌殿から聞き出そうとした時にやってきた」
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