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『梦玉様と李門様の事“も”ありましたので』
彼女は“事が”ではなく、わざわざ警告の為、“事も”と意味を込めて言っていた。
「俺達に聞き出させない様に、か……」
クヌムは腕を組んで、朱麗が去って行った方向を見る。
篶歌が部屋に入ると、泣きわめく梦玉と李門に苦戦中の琥蓮がいた。
「あまりにも騒がしいので勝手に入らせていただきました」
苦笑気味に言う琥蓮に篶歌は頭を下げた。
すると、篶歌に気付いた梦玉が意味不明な言葉を発しながら篶歌に抱きつく。
負けじと李門も後から指をくわえてやって来た。
「篶歌殿がよっぽど好きなのね」
「出発が明日だからですよ」
しばらく二人を宥めていると、朱麗が入ってきた。
「隋楠の方々とは、あまり親しくならさない方がよろしいかと思います」
頭を下げて一息つくと、朱麗はいつも通り、淡々と口を開く。
篶歌は何故、朱麗がそんな事を言うのか理解できず、小首を傾げた。
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