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しかし、篶歌に話しても良いのだろうか。
これから嫁ぐ国が色々と篶歌を調べようとしている、なんて言えば不安にさせるだけではないだろうか。
朱麗は考えたあげく、篶歌を見つめて忠告のみに止めた。
そして、清々しいトルマ湖の風を心地よく感じながら、出発の時が来た。
港の船着き場で翁潤は高らかに笑いながら出発の挨拶を述べる。
篶歌も挨拶を終え、頭を下げると、踵を返して船に乗り込もうとする。
「お姉さまぁっ!」
やけに響く幼子の声によって、篶歌は足を止めて振り返った。
すると、梦玉と李門が、船着き場へ走ってきた。
「これ!」
梦玉と李門は一輪の白い花を篶歌に渡す。
涙を必死に我慢する二人は、鼻を真っ赤にさせて、大きい瞳は篶歌を見つめている。
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