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朱麗は侍女ではあったが、篶歌の良き理解者で優れた医学者でもあった。
「陛下に許可は取ってあります」
「でも……」
「篶歌様に助けていただいたこの命、死ぬまで篶歌様の為にと、励んで来たのです」
朱麗の無表情だった顔から、やんわりと笑顔が出た。
ありがとう、そう篶歌が呟くと、朱麗の顔はわずかに赤らんだ。
「さぁ、お早く!陛下がお待ちです!」
篶歌は笑いながら朱麗に幼い兄弟達の面倒を頼み、翁潤の元へと向かった。
広間では翁潤が玉座に腰かけ、大勢が並び立つ。
篶歌は翁潤に手招きされ、翁潤の足元近くまで足を進めた。
「さて、篶歌が隋楠に嫁ぐ事になったのは知っているな。そこで誰を共につけるかだが、お抱えの医師として侍女の朱麗。護衛官に伍徳(ゴトク)、護衛官補佐に朧宇利(オボロ ウリ)をつける。後は伍徳と朧で話し合って決めなさい」
「御意」
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