ナマエ

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「ねぇ、猫」   「なんだい、ご主人」     二人?で土手に寝そべって空を眺めていた そんな時に飼い主は首だけの猫に声をかけた   「名前が欲しい」 「僕のかい?」 「ううん、私の」     その言葉に猫は器用に転がって飼い主の腹の上に乗った   「普通は僕の名前じゃないのかい?」     そうかもね、と言いながら猫の首を自分の顔の前まで持ち上げる 猫は、笑っているように見える   「猫、笑ってるの?」 「僕はいつもこんな顔だよ で、どうしたんだい?」     「ただ……名前が欲しくなったの」 「じゃあ、自分でつければいいじゃないか」 「私以外の誰かがつけた名前が欲しい」     猫は一言、無理だねと言った    
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