序章

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 地球人類の発展は地下資源の枯渇に依り停滞の一途をたどるかに見えた。    西暦2050年以降は各国が新エネルギーを生み出す国にのみ繁栄が約束されていた。  その中でもアメリカ、中国、インド、ドイツ等が電気エネルギー、原子力エネルギー、水素エネルギーに関しては一歩先んじていた。  しかし、それ等は人類の生活を全て網羅するには不足した。  リサイクルには限界が有り、農産物でさえ地球的規模の環境変化により恒常的に不足した。   一時期地球の人口は80億人を突破してから右肩下がりを続け、西暦2100年頃には45億人程度まで落ち込んだ。  その様な状況の中、人類はその不屈のチャレンジ精神に翳りは見あたらず、宇宙空間への夢は捨ててはいなかった。  宇宙空間には限りない資源が 有るからに違い無いからだ  太陽系内部だけでも 人類が 消費して来た鉄の数十倍の量が 浮遊しているのが確認されていた  それ迄は各国がバラバラに行っていた宇宙開発を統一組織としてのプロジェクトが発足するのである。  当然そこには地球を脱出したい思いと他の天体の資源を発掘し、わが物にしたいという欲望が絡み合っていた。   西暦2103年、主要20ヶ国が参加した第一号探査機が原子力を利用したロケットが飛び立った。  船名をアトランティスと称する探査機は人類の英知の結晶であった。その道程は火星から順番に冥王星迄に至る惑星の克明な調査である。 10年を要する気の長い調査に成るとの試算であった。
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