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現実逃避をしたくなる。
否、寧ろしたくならない方が可笑しい。
空は笑顔だが
その笑みは酷く引き吊っている。
「あ゙ー…
嘘だろ……
僕は夢でも見てるのか?」
そもそも、此処にどうやって来たのかさえ、
空には分からない。
最後の記憶は光る扉に入った…。
「あの扉か!」
あの扉のせいでこんな場所に来てしまったのか、
と一人納得する空。
「マジックか…?
魔法みたいだな、本当に…」
基本、マイペースな空は、関心したように頷いた。
「でも帰らなきゃ…雅人や叔母さんが心配する」
雅人とは帰る約束までしているのだ。
空は罪悪感を感じながら溜め息を吐いた。
「兎に角…
今はこの森から出なきゃ」
ぐっと拳を握り
気合いを入れる空。
「……お前は人間か…?」
突如、頭上から声がした。
空は慌てて見上げると、空よりちょっと年上の少年が木の枝に座っていた。
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