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「誰…?」
不審者か、と思いつつ
恐る恐る尋ねる。
少年は、空の瞳をじっと見つめていたが
口を開いた。
「此方が先に聞いた。
お前は人間か?」
人間か、と尋ねられたのは初めてだった空は、戸惑いながらも頷いた。
「当たり前じゃん
…見れば分かるだろ?」
空は自分の手を見て
自分に何か変な所があるか確かめた。
「人間と妖精の匂いがしたから分からなかった」
(ヤバい…
この人頭可笑しいぞ、絶対
人間の匂いとか…
しかも〝妖精〟?
童話とか信じちゃうタイプか?)
心の中で空は思う。
「人間と聞くなら
貴方は人間じゃないって事?」
意地悪してやるつもりで
くすりと笑えば、
「嗚呼、俺は精霊だ」
と、真顔で返事が帰って来た。
「ちょっ…
マジで冗談よそうよ!
さっきは僕が意地悪しただけだからさっ」
苦笑して言う空に
少年は首を傾げた。
「何故嘘など吐かなければならない?」
本気だと分かると
空は少年をまじまじと見た。
「ねぇ
精霊って何?」
尋ねると
少年は酷く驚き、空を不思議なものを見る目で見つめていた。
「精霊を知らないのか…?」
空は、精霊がどんなものなのか知らないので
小さく頷いた。
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