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翌日はシドニーでリハーサルなど、打ち合わせが行われた。ルドがいないので、全て自分でこなさないといけない。
演奏の打ち合わせ以外の事、主催者との挨拶などの社交的な事が特にストレスだ。 天気の話、食べ物の話…。どうでも良い。カンガルーを食べたか?オーストラリアでも僕はハンバーガーが主食だ。
でも、ちゃんとしないといけない。これからも呼んでもらえるように、良い印象を持ってもらわないと…。
これからも…?。
これからもこんな生活が続くのだろうか。
世界で活躍する演奏家たちは口を揃えて言う。
『生まれ変わっても、二度と演奏家だけは嫌だ。結婚して子供が生まれても、自分の知らないうちに子供はどんどん成長していく。大切な時に大切な場所にいる事ができないって、不幸な事だよ。』
その意味が今になってよくわかる。
ん?今になって?
何を言ってるんだ。
身近にそんな“不幸な人間”がいたじゃないか。
国際線パイロットだった父も、大切な時にいつも家にいなかった。
「遺伝だ。」
ちょっと笑えた。
僕は時間を見計らって、エリに電話をした。
電源は入ってるのに出ない。
僕はメールを打った。
「明日の夜11時に電話する。」
もうダメだと思う。でも中途半端に終わるのは嫌だった。
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