芦田恭介

6/18
4926人が本棚に入れています
本棚に追加
/497ページ
「私がもし来なかったら……どうするつもりだったんですか?」 「やっ、とくに何も考えてなかったけど……実際来てくれたし」 そう言って微かに口元を緩めた。 あっ……笑った。 この人でも笑うんだ……。 って人間なんだから当たり前なんだけど!!なんか噂聞いちゃったし、顔がいつも怖いから笑わないのかと。 でもなんか……もっと笑った顔を見てみたい気がする。 「せっかく来てくれたんすけど、暗くなってきたんで今日は帰りますか」 そう言って屋根から出ると、恭介は雨の中を歩き出した。 今初めて目が合っちまった。 告白した時もずっと下を向いてたのに少しの間だけど、ちゃんと俺を見てくれた。 恭介は嬉しさで赤くなる顔を手で隠した。
/497ページ

最初のコメントを投稿しよう!