4933人が本棚に入れています
本棚に追加
暖かい日差しが差しこみ、そよ風が綺麗な桜の花びらを揺らす。そのたびにピンク色の花びらが舞い散り、地面をピンク色に染めていく。
「んー。暖かいなぁ」
窓から差し込む日差しに、眠気を誘われながら奈緒は大きく伸びをした。
「奈緒ダレすぎ。でもなんかやっとクラスにも慣れたって感じだよね」
小学校からの親友である優子が、前の席の椅子に座ると体を傾け言った。
「ねぇ。優子以外知らないんだもん。クラス一緒で本当良かったよ」
「私もだよ。ねぇ、部活とか入る?」
「んー、どうしようかな。バイトとかもしてみたいなって思うし」
「バイトいいね。でも私バスケ部のマネージャーにも興味あってさぁ。奈緒、一緒に見学に行ってくれない?」
「いいけど、なんでバスケ……あ、分かった。もう格好良い人見つけたんでしょ?」
奈緒の質問に優子は嬉しそうに話し出した。
「分かる?二年の小野寺先輩がすごい格好良いいの。見たら奈緒も惚れるって」
「惚れないよ。私が男の人苦手なの、知ってるでしょ?」
「知ってるけどさぁ。付き合わなくても私みたいに見てるだけでも楽しいよ?奈緒はさ、格好いいって思うこともないの?」
優子の質問に記憶をたぐらせる奈緒。
「ない……かなぁ?だって男の人自体に興味ないし」
そう言いながらあくびをする奈緒を見ながら、優子は少し勿体ないと思う一方で心配だった。
最初のコメントを投稿しよう!