11196人が本棚に入れています
本棚に追加
地下1階。
そこには、だだっ広い空間が広がっていて、幅はせいぜい10m程度だが、左右は端が見えない。そして、左右にほぼ等間隔で無数の階段。
「すげー……明るいんだな……」
ここは地下だから明かりは当然人工照明しかないわけだが、それでもなぜか、自然な感じのする明るさだ。
「ねっ、すごいでしょ?」
奏は自分の宝物でも自慢するかのように言う。
そして、何か言い忘れてる、というように目線を小刻みにうごかす。
数秒して―――
目線が俺に定まる。
そして奏の口が開く。今度は満面の笑顔だ。
「聞いて喜びすぎて死なないでね、悠紀人くん」
喜び死ぬ? 大袈裟な。
と思えたのも束の間だった。
「この地下で繋がった家々にすむ子たちの中で、悠紀人くん、あなたは唯一の――」
「カナ姉ぇ~、なんでここに男がいるの~?」
最初のコメントを投稿しよう!