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隣にいる女性の手を引くが、動く気配がない。
「いや…まだ、死にたくない……」
ガクガクと震えながら、目の前の魔物を見つめていた。
見開いた目からも、恐怖が感じられる。
「私だって死にたくない!早く、早く逃げよう…」
ズシン…
魔物が一歩ずつ前に進み、2人との距離が次第に狭まってくる。
震える2人を見ながらにやりと笑う。
笑った口元から見える尖った牙。白く輝くそれは、目の前の獲物を楽しみにしているようにも見えた。
「あぁ…あぁ……」
声にならない叫び声が流れ出る。
早く逃げなきゃ、でも体が動かない。恐怖で固まってしまっている。
魔物が手を上に上げた。
つきの光に照らされ、長い爪がきらりと輝く。
そして、2人目がけて一気に手を振り下ろした。
「「いやぁぁぁーっ!」」
叫び声をあげ、目をぎゅっとつぶる。
「……シャイン・ショットっ!」
どこからか光の玉が現れ魔物の腕を打ち落とした。
「間に合った?みたいね」
声のしたほうを見ると、金色の杖を持った少女がいた。
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