4人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあおじちゃんはギタリストになったのね」
あどけない笑みを浮かべ、少女は笑った。
「いや――なれなかったよ」
「どうして?毎日努力を惜しまず練習し、それを認めてくれる人がいたのなら、それはもう立派なミュージシャンよ。誇るべきだわ」
そうだね。僕は笑った。
もし其れが――僕が今もギターを弾いていたなら、それで良かっただろう。
「弾いてないの?」
少女が泣きそうな顔をして、僕の目を見た。
「残念ながら、弾いてないね」
「どうして?」
「弾けなくなったんだよ」
.
最初のコメントを投稿しよう!