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柊茜においていかれ、呆然としていたところに、幽霊のマダハリー・クェイストが現れた。
「おっす!元気にしてるかい?」
「まぁな」
ハルトは適当にあしらい、自分自身の出発の準備を万全にし始める。
それを眺めながら、マダハリー・クェイストが話しはじめた。
「そういえば、また魔法生物が現れたらしいな」
「みたいだな」
「さっき見てきた感じ、流石にさっきのお嬢さんじゃ勝てないと思うぜ」
「どういうことだ?」
準備の手を止め、彼女を見上げる。
「まぁ、確かに彼女はいい腕をしてるよ。デオブロマの一般魔法使いより戦闘能力的には上だろう。だけど、それだけじゃ“あれ”には勝てない」
「なぜだ?」
「ま、出てきたのがケロベロス・タイガーだからな」
「な?!」
ケロベロス・タイガー。
デオブロマではもっとも恐れられている生物。
デオブロマ全体で見ればたいした強さではないが、その圧倒的な数と俊敏さの前では、上級魔術師でも気を抜けばすぐにやられてしまう。
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