第2章 獣達の挽歌

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柊茜においていかれ、呆然としていたところに、幽霊のマダハリー・クェイストが現れた。 「おっす!元気にしてるかい?」 「まぁな」 ハルトは適当にあしらい、自分自身の出発の準備を万全にし始める。 それを眺めながら、マダハリー・クェイストが話しはじめた。 「そういえば、また魔法生物が現れたらしいな」 「みたいだな」 「さっき見てきた感じ、流石にさっきのお嬢さんじゃ勝てないと思うぜ」 「どういうことだ?」 準備の手を止め、彼女を見上げる。 「まぁ、確かに彼女はいい腕をしてるよ。デオブロマの一般魔法使いより戦闘能力的には上だろう。だけど、それだけじゃ“あれ”には勝てない」 「なぜだ?」 「ま、出てきたのがケロベロス・タイガーだからな」 「な?!」 ケロベロス・タイガー。 デオブロマではもっとも恐れられている生物。 デオブロマ全体で見ればたいした強さではないが、その圧倒的な数と俊敏さの前では、上級魔術師でも気を抜けばすぐにやられてしまう。  
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