第2章 獣達の挽歌

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ハルトは走っていた。 行く先を確認するのは忘れていたが、相手は魔法生物。 種族もわかる。 なら、その魔力を探れば迷うことはない。 「えっと…………」 周囲に感覚を広げ、意識を集中させる。 (…………いた。東に954メートル) 廻り道をしている余裕などない。 感じたところ、ケルベロス・タイガーは複数いるようだったからだ。 柊茜一人でどうにかできるような相手ではない。 「風よ。我を運びたまえ…………“風走”」 初等魔術、風走。 使用者に対して常に追い風が吹いているような感じになり、身体の動きが速くなる魔法。 誰もが1番最初に覚えるような魔法だが、使用頻度が高く、重宝されている。 ハルトは風走を使い、建物の屋根をも飛び越えて、一直線に目標点へと向かっていった。  
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