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ハルトは走っていた。
行く先を確認するのは忘れていたが、相手は魔法生物。
種族もわかる。
なら、その魔力を探れば迷うことはない。
「えっと…………」
周囲に感覚を広げ、意識を集中させる。
(…………いた。東に954メートル)
廻り道をしている余裕などない。
感じたところ、ケルベロス・タイガーは複数いるようだったからだ。
柊茜一人でどうにかできるような相手ではない。
「風よ。我を運びたまえ…………“風走”」
初等魔術、風走。
使用者に対して常に追い風が吹いているような感じになり、身体の動きが速くなる魔法。
誰もが1番最初に覚えるような魔法だが、使用頻度が高く、重宝されている。
ハルトは風走を使い、建物の屋根をも飛び越えて、一直線に目標点へと向かっていった。
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